中絶を経験したひとは「いのちの重さ」を知っている

中絶を経験したひとは、周りに自分と同じ苦しみを抱えているひとがいるなんて考えもしません。中絶を経験したことのないひとは、そんな苦しみを抱えているひとが自分の周りにいるなんて考えもしません。したがって人々の想像のなかでは、中絶は「ありえないこと」になっているのです。しかし現実には、中絶はあまりにも「あたりまえのこと」です。

厚労省が公表している日本の中絶件数は実際の数字とかけ離れているらしく、本当のところ今もどれだけのひとが中絶を経験しているのか把握することはできませんが、実数は3倍から5倍になるとする見方もあります。となると国が公表する数字でも女性の5人に1人が経験者ということになりますから、成人女性が2人以上いれば「どちらもいる」ことを想定しておくのが現実的です。

あなたの隣のひとか、あるいは、あなた自身が中絶経験者です。

あなたは、周囲に影響されることなく、自分の意志によって中絶を選んだわけではないでしょう。相手の男性や家族の反対にあって、泣く泣く手術を受けたでしょう。あなたは、弱く、傷つきやすく、そして正直なひとでしょう。純粋だから尚さら、その苦しみは耐え難いものでしょう。

でも、あなたには財産があります。今の日本では学校でも家庭でも地域でも教えてくれない「いのちの重さ」を、いちばんあなたが分かっています。むしろ、中絶について考えたこともないという人のほうが、いのちの価値に無頓着です。

いっしょに「中絶やめよう」の声を上げませんか。その声が誰かの声と響き合うとき、きっとあなたの心の暗がりに希望の光が灯るでしょう。そして、あなたの痛みが完全に癒されるとき、この社会は中絶をやめているでしょう。