マザー・テレサが初来日した記念すべきその日は、1981年4月22日でした。くしくもアースデーにやって来たマザーは、日本人に中絶をやめるよう熱心に説いて回りました。女子高生を前にして「未婚の母になることを恐れて中絶という大きな過ちをおかさないで」と語りかけ、国会議員たちを前にして「勇気をもって中絶法と戦い、養子縁組がもっと利用しやすくなるように努力してください」と訴えました。

1982年、二度目の来日をしたマザー・テレサが、永田町での国会議員朝食会の席でスピーチをおこないました。「中絶なくそう」の訴えとそのための戦略の指示を与えることがマザーの来日の目的でした(意外に知られていない事実ですが)。「勇気をもって中絶法と戦い、同時に養子縁組がもっと利用しやすくなるよう努力してください」と国会議員相手に力説したのです。その戦略はシンプルにプロライフ運動の核心を突いています。

この二つの取組みを両輪ですすめていくこと。中絶の事実を伝える啓蒙活動をつづけながら「STOP ABORTION, GO ADOPTION」を実践することは世界共通のプロライフ運動の王道です。中絶法との戦いを有利にすすめるためにも、養子縁組の普及は欠かせません。

育てられないからいのちを奪うというのではなく、育てられなくてもいのちは生かせることを、いのちのバトンが渡せることを、それが産みの親にとっても、育ての親にとっても、何より赤ちゃんにとって、そして社会全体にとって最良の選択であることが、これまでも多くの善意のひとたちによって実証されてきました。マザーの言葉どおり、これをさらに広く推進していくことが重要です。

養子縁組や赤ちゃんポストの必要性に関して日本では誤解されているところが多いようですが、何より中絶をなくすために、産まれる前のいのちを救うために欠かせない有効な手だてであることを忘れてはなりません。産みの親から育ての親へいのちのバトンを渡すことが養子縁組という制度であり、自力ではそこまで辿り着けない産みの親のために、その制度につなぐバトンが赤ちゃんポストという仕組みです。

受け入れ家庭で養子が虐待されたという事件が起きれば、マスコミは鬼の首をとったように騒ぎ立てますが、実際は養子に迎えられた子どもの多くは家族となる幸せにあずかります。養子を迎えたいと望む夫婦はたくさんいます。この制度を普及させて、どんな困難な妊娠をした場合でも中絶ではなく養子縁組が選ばれる社会をめざしましょう。ひとつの小さないのちのバトンが渡されるのを見守るとき、社会はひとつ希望の光を灯します。さあ、マザー・テレサの呼びかけにこたえましょう。

ヒラリー・クリントンらの度肝を抜いた マザーの有名なスピーチ(*日本語字幕つき)